民間の研究者が４０年近くをかけて採集し、奈良県内ではもう見られなくなった希少種も含む植物標本約１万点を、県立大（奈良市）が誤って廃棄していたと判明した。２００１年６月に県が寄贈を受け、専用ロッカーで保管してきたが、校舎の取り壊しに伴い、２３年１０月に処分された。２２日に記者会見した県立大の尾久土正己学長は「学内で意思疎通や適切な引き継ぎがされていなかった。誠に申し訳ない」と陳謝した。
日本奈良县立大学误将某位民间研究人员近40年整理的约1万多件植物标本丢弃，其中包括许多在奈良县内已经灭绝的珍稀植物标本。2001年6月，县立大学从奈良县政府处得到这些标本，后放入专用保险箱保管，但在23年10月校舍翻新时被丢弃。22日，县立大学召开记者会，校长尾久土正称“由于校内沟通和交接不到位造成了损失，真的非常抱歉”。

廃棄されたのは元高校教諭の岩田重夫氏（１９１６～８８年）が５０年から晩年まで県内外で集めた「岩田コレクション」。寄贈当時に標本を管理していた奈良植物研究会（会長・松井淳・奈良教育大特任教授）が２２日、経緯の説明と再発防止を求める要望書を県に提出した。
被丢弃的植物标本是原高校教师岩田重夫（1916~88年）自50年开始到其晚年，在县内外收集整理得到的“岩田collection”。22日，当时管理标本的奈良植物研究院（院长松井淳，奈良教育大学特约教授）向县政府提交了要求调查丢失经过以及防止再发生的请愿书。

標本は新聞紙に挟んだままの形で保管されていた。県内採取分だけで約７３００点、約１６００種を数え、辻野亮・奈良教育大教授（生態学）によると、植生変化や野生動物の繁殖で見られなくなった希少種や、今では採取できなくなった種なども多く含まれていたという。
丢失的植物标本是夹在报纸里保管的。仅在奈良县内采集的标本就有约7300件，约1600种，奈良教育大学生态学教授辻野亮透露，这其中也包含许多由于现代植被变化和野生动物的繁殖而看不到的稀有种属，以及已经无法采集到的种属。

同会メンバーらは遺族から寄贈を受けた後、散逸を防ごうと０１年に県に寄贈。将来的に自然資料を保管展示する専門施設が整備されることを見越した判断で、県も当時の覚書や要領に基づいて県立大４号館で保管していた。ところが今年３月に一部を県外の博物館に移そうと松井会長が同大を訪れたところ、廃棄されていたことが判明した。
奈良植物研究院在接到岩田家属的赠予后，为防止标本流散，于01年将这些标本赠予县政府。县政府考虑到县立大学将来会建设保管展示自然资料的专门设施，所以依据当时的备忘录和纲要，将这些标本交由县立大学4号馆保管。然而，松井院长计划在今年3月将部分植物标本移至县外博物馆，于是拜访了奈良县立大学，却得知了标本被丢弃的噩耗。

県立大によると、学内で寄贈の経緯や標本の価値が引き継がれておらず、４号館の取り壊しを前に担当者が標本を確認した上で不要と判断した。会の連絡で誤廃棄が分かった後も、県から６月に問い合わせを受けるまで報告もしていなかった。

县立大学校方称，由于校方在标本捐赠经过及其价值的交接不到位，在4号馆翻新之前，负责人在对标本进行确认后判断没用于是丢弃。而且在与研究院取得联络，意识到判断有误后，在6月接到县政府的询问前也没有提交误丢报告。

松井会長は「寄贈前の分類作業には延べ１００人近い人が関わっており、残念で済む話ではない。もう少し資料に敬意があってもいいのでは」と憤る。尾久土学長は「担当分野の教員が管理に関わらないと資料の価値は伝わらない。今後、県立大で範囲外の寄贈を受ける際は慎重に判断したい」と話した。
对此，松井院长愤怒表示：“在捐赠前，有将近100位工作人员对这些植物标本做了分类工作，如今不是一句抱歉遗憾就能解决的。你们应该对这些珍贵的资料多抱有一份敬意才对”。尾久土院长表示：“如果相关负责教师不参与管理，这些标本的价值就无法准确传达。未来，县立大学在接受范围外的捐赠时将会持更加谨慎的态度”。