日语美文朗读:『君たちはどう生きるか』(宫崎骏斩获金球奖最佳动画《你想活出怎样的人生》灵感之源)

发布时间:2024-03-15 08:51:02

まえがき


 コペル君は中学二年生です。

 ほんとうの名は本田潤一、コペル君というのはあだ名です。年は十五ですが、十五にしては小さい方で、実はコペル君も、かなりそれを気にしています。

 毎学期のはじめ、体操の先生が全級を整列させて、帽子を取らせ、背の高さを見て整列の順を変えるとき、コペル君はそっと砂利の上に靴のかかとを乗せたり、できるだけ首をのばしたりして、なんとか順序をくりあがろうと苦心するのですが、成功したためしがありません。「ガッチン」というあだ名のある北見君と、いつも二位、三位を争って、お互いに抜いたり抜かれたりしています。むろん、ビリからです。

 ところが、成績の方からいうとその逆で、たいてい一番か二番、三番と落ちたことはめったにありません。この方は、もちろん、ほんとうの成績順で数えてです。

 といって、コペル君は点取虫の勉強家というわけではなく、どうして、遊ぶことは人一倍好きな方です。野球では、クラスの選手になっています。ちっちゃなコペル君が大きなグローブをはめて、二塁を守っているのは、なかなか愛嬌があります。なにしろ体が小さいので、打撃の方は強打者ではありませんけれど、でもバントがお得意で、おかげでいつも二番打者に据えられています。

 成績が一番か二番というのに、コペル君は、いまだかつて級長になったことがありません。それは、みんなの人望がないからというよりも、少々コペル君のいたずらが過ぎるからです。修身の時間に、先生にかくれて、糸でつないだ二匹の甲虫に綱引きをさせて喜びに、受け持ちの先生がコペル君のお母さんにいわれる言葉は、いつもきまっています。

 「学業の方は、なにも申しあげることはありません。非常に優秀な成績で、こんども首席を占めておられるようなわけです。ただ……」

 この「ただ……」が出ると、お母さんは、またかと思います。このあとにつづくのは、いつだって、コペル君がどうもいたずら好きでこまるというお話だからです。

 もっとも、コペル君のいたずらがやまないのは、ひとつはお母さんの責任かもしれません。お母さんは、父兄会から帰ってくると、「また先生のご注意を受けましたよ」といって、コペル君によく言いきかせるのですが、それがどうもきびしくないのです。実をいうと、お母さんには、こういうことできびしい小言をいうことができないのです。

 なぜかというと、大体、コペル君のいたずらというのが、人をこまらせたり、いやがらせたりするような、ひねくれたものではなくて、ただ人を笑わせて喜ぶ、いたって無邪気なものだからですが、そのほかに、もう一つ大きな理由があるのです。それは、コペル君にお父さんがないということです。

 コペル君のお父さんは、二年ばかり前になくなりました。大きな銀行の重役だったお父さんがなくなったのち、コペル君の一家は、それまで住んでいた旧市内の邸宅から、郊外のこぢんまりした家に引っ越しました。召使いの数もへらして、お母さんとコペル君の外には、ばあやと女中が一人、すべてで四人の暮らしになりました。お父さんの生きていた頃とちがって、訪ねてくる人も少なく、うちの中が急にさびしくなってしまいました。そうなってから、お母さんの一番の心配は、このためにコペル君が快活でなくなったりしては、ということでした。それでお母さんは、コペル君のいたずらを、あまりきびしく叱ることができないのです。

 郊外に越してからは、近所に住んでいる叔父さんが、ちょくちょく訪ねてきます。その叔父さんは、お母さんの本当の弟で、大学を出てからまだ間もない法学士です。コペル君も、よく叔父さんのうちに遊びにゆきます。二人はたいへん仲よしなのです。人並以上背の高い叔父さんと、小さなコペル君と、二人が並んで散歩しているところを、近所の人はよく見かけます。原っぱで二人がキャッチボールをしていることもあります。

 もともとコペル君というあだ名は、この叔父さんが製造したものです。そして、ある日曜日、学校友だちの水谷君がうちに遊びに来たとき、ちょうど叔父さんも来ていて、しきりに「コペル君」「コペル君」と、コペル君をふりまわしたものですから、それ以来、この名が学校にも伝わってしまいました。

 「本田はね、うちじゃあ、コペル君て呼ばれてるんだよ」

 と、水谷君が学校に来ておしゃべりしたため、学校の連中までコペル君と呼ぶようになったのです。今では、お母さんまで、ときどき「コペルさん」などと呼びかけます。

 しかし、なぜ「コペル君」というのか。そのわけを知っている者は、友だちには一人もありません。みんな、わけは知らないで、ただ面白がってこう呼んでいるのです。当のコペル君に、

 「なぜ、君のことをコペル君というの」

 と、たずねても、コペル君は笑うだけで、その説明は決してしません。でも、こうたずねられるとき、コペル君の顔つきは、なんだかうれしそうに見えます。それで友だちは、なお一層、わけを知りたくなるのでした。

 みなさんだって、この点では、コペル君の友だちと同感にちがいありません。そこで、まず、コペル君の名の起こりから、話しはじめることにしましょう。それから順々に、コペル君の頭の中に起こった奇妙な出来事を、みなさんに報告してゆくことにしましょう。

 なんのために、そんな報告をするのか、それは読んでゆくうちにわかります。


『君たちはどう生きるか』

吉野源三郎

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